トルコ総合病院プロジェクト

- 小川 洋道
- 醫療インフラ事業部
事業開発第一課
2017年入社。入社時は、プラントプロジェクト部に配屬され、インドにおける製鉄事業に攜わる。その後、2年目になるタイミングで醫療インフラ事業部へと異動した?,F在は、本プロジェクトにて主に事業會社の運営管理に攜わる。
- 石黒 正樹
- 醫療インフラ事業部
事業開発第一課 課長
2002年入社。入社後は財務部に所屬し、外國為替や決済周りなどを擔當。その後、プラントプロジェクト部にて製鉄プラントのEPCにおける売買契約を擔當し、現地であるインドに駐在していた。その後、2015年から本プロジェクトに攜わる。
- 牛木 真之
- 醫療インフラ事業部
事業開発第一課
2013年入社。大學時代は體育會に所屬しつつも、バックパッカーとして海外をよく訪れ、フィジーでの留學経験を持つ。入社後6年間は主計/経理部に所屬、そのうちの1年はニューヨークで勤務する。その後、石黒に憧れ、営業に転身。本プロジェクトに參加する。
- 01総合病院プロジェクトに
參入した背景 - ―海を越えた信頼関係で
新たな可能性に挑む―

石黒
もともとは、プラントプロジェクト部の中で業態を広げていくというミッションに取りかかったことがきっかけです。ちょうどその頃、當社と長年の付き合いがあったトルコでNo.2である建設會社「ルネサンス」も、同じく事業領域を広げていきたいと考えている時期でした。當社とルネサンスは、その時までに6件ほどの大型プロジェクトを共に成功させており、既に厚い信頼関係があったんです。そこでお互いに次は醫療分野に挑戦しようということで合意して、手を組んだことが本プロジェクトのはじまりです。

小川
私と牛木さんは、このチャムアンドサクラシティー総合病院プロジェクトに途中から參加しているのですが、このプロジェクトをきっかけに醫療インフラ事業部が創設されたと聞きました。

牛木
そうですね。當社では醫療分野への取り組み自體は、古くから攜わっていました。例えば、ODAに関わる醫療機器の納入や病院そのものへの投資などです。それぞれの部署が獨自に取り組んでいました中で、このプロジェクトがきっかけとなって、醫療関係の仕事を集約する醫療インフラ事業部ができたんです。

- 02それぞれの役割と
その難しさ - ―文化の違いを乗り越え、
國家規模の醫療インフラを―

牛木
私は當部署に異動する前は経理業務を擔當していたので、その経験を生かして、ルネサンスと共同出資をした事業會社の決算業務を行っています。その事業會社はトルコにあるため、時差と距離があることはもちろんですが、會計のルールや法制度が日本とは違うことが難しいポイントだと感じています。

小川
確かに國が違うと、色々なことが違ってきますよね。私は、その事業會社における運営管理に攜わっています。銀行から融資をいただくための書類や條件の調整、株主総會や取締役會の開催、工事進捗管理、アドバイザーとの折衝などが主な業務です。もちろんルネサンスの方と関わるのですが、仕事の進め方など國民性の違いを感じる場面もありました。

牛木
また、我々は數字面でも何でも「最低ここまでは守れる」というボトムを知りたいと思うのが常ですが、トルコでは逆の考え方をする人が多い様に感じます。我々が最低限のラインを知りたがったとしても、上を目指せばこんなにバラ色の未來があるのに何故やらないんだと、回答がくる。そういった文化の違いを調整していくのは難しいですよね。

石黒
二人が言うように、違う國が手を組んでプロジェクトを進めると色々な問題が起きます。しかし、私は主擔當として関わっていた開発當時から、このプロジェクトには大きな可能性があると考えていました。チャムアンドサクラシティー病院は歐州の中でも最大クラスの規模であり、その実績をつくることで、ルネサンスにとってはトルコの病院PPP事業のトッププレーヤーに、雙日にとっては新しい基幹事業になりそうな仕事だと感じていたんです。ただ、規模が大きいことに加え、関係者の數も段違いに多い。特に融資條件はタフな交渉になりました。そういった、大変な苦労がありましたが、調印式や開院式にはトルコのエルドアン大統領が出席されるなど、國家的なプロジェクトをやり切ったという感動は今でも忘れることができません。

- 03「チームの力」を
感じた瞬間 - ―適材適所で支え合うことで
生まれる推進力―

小川
各々が、各分野でスペシャリティを発揮していることが特徴ではないでしょうか。私であれば事業會社の全般的な運営管理、牛木さんであれば會計とファイナンスの分野で専門性を持っている。社內に関してもその道のプロフェッショナルの方に力を借りながら進めているので、チームワークは常に感じています。もちろん、現地に出向されている方には、現地でしかできない調整業務などの仕事をやってもらっています。

牛木
アメフトのような適材適所な感じですよね。それぞれの業務で分からないことがあれば、それぞれの専門家に聞けばすぐに答えが返ってきますから。契約のことであれば小川さんに聞けばいいし、會計とファイナンスであれば私に任せてもらう?,F地に確認しなければ分からないことは、出向している大先輩に聞けばいい。その上で、すべてを把握している課長がマネジメントをしてくれている。もちろん、すべてのことを全員が知っていれば一番いいのでしょうが、物理的にそういうわけにもいきません。お互いにフォローができる環境であることが、確実かつ迅速に仕事を進めることができている秘訣だと思います。

小川
また、全員が同じ方向を向けていることも特徴ではないですか。

牛木
そうですね。日本と海外でやり取りを行う時は、時差がある分時間がかかってしまいがちですが、このチームではそれがありません?,F地にメールを送れば、「うん、その方向性で合っているよね」と、言葉を交わさずとも考え方を共有できていることが多々あります。

石黒
次世代の皆さんがそのように自分の専門分野を磨きつつも、課題を見つけ、仮設を立てて検証し、周りを巻き込みながら主體的に仕事を受け継いでいただけていることが嬉しいですね。

- 04プロジェクトがもたらした
やりがいと価値 - ―個人個人の成長で
醫療に次の未來を―

牛木
私はこのプロジェクトに參加して、大きく成長できていると思います。石黒課長をはじめとする上司の方々が、日々、自分の実力よりも少し上のハイボールを投げてくれる環境がありますね。例えば、東京からの要望が100とすると、現地では80しかできないということがどうしてもあります。そうした中で、現地の先輩方の力を借りながら、何とか折衷案を見つけていく。チーム內で協力してもらいながら、これを繰り返すことで成長できているため、大きなやりがいを感じます。今後は、これまでの経験とこのプロジェクトの実績を生かして、醫療インフラ関係で新しいビジネスを一からつくってみたいですね。

小川
私がこのプロジェクトにアサインされた時は、建物の基盤がようやくできたところでした。それが、徐々に病院の形になり、無事に開院した。その経過に自分の日々の小さい仕事も、大きい仕事も関わっていると考えると、やはり感慨深いです。ですが、このプロジェクトは今後も長期間続いていきます。いずれは自分が現地に行って、そこで見つけた課題を解決し、この事業を強くしていくことが今後の目標です。また、牛木さんと同じく、新しいビジネスをつくっていきたいと考えています。

石黒
二人のように個人個人が仕事の幅を広げていけば、チームとしての力は必ず強くなりますし、この事業はさらに成長していくと思いますよ。このプロジェクトは、GDPが伸び続けているにも関わらず、病床數が圧倒的に足りなかったトルコにとっての希望になりました。國民全體が醫療の質を上げたいと考えていたところに、限られた財源で病床數を増やす前例になったことで大きな価値を生み出し、雙日にとっても、醫療分野で次の展開を狙えるスキームを構築できたと思います。また、現在のチームにとっては、全員が同じ目標に向かって協力し合えば、大きなことを成し遂げられるということを実感できた事例だったと思います。若手の皆さんには、このプロジェクトを基幹としながら、これまでの経験を生かすことで、ぜひ新しいビジネスをつくりあげてほしいですね。大いに期待しています。



※記事中の所屬部署は取材當時のものです。